自然史講演会「日本海の歴史を金沢の地層にたどる」(2019/10/6)

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【塚脇先生の講演 館長のおすすめメッセージ】

 自然史資料館の入口をはいると正面にある大展示ケース(3メートル四方)に『断層実物標本』が展示されています(写真1と2)。およそ2000年前に、森本活断層がマグネチュード6の地震を起こしたときにできた断層を剥(は)ぎ取ったものです。大きな力で1mも上にずれた大地の割れ目(断層)は、地震がおきた証拠です。この標本は、金沢市梅田町から採取されました。金沢には、森本断層と富樫断層のふたつの断層が、あわせて36 kmも走っています。

 最近、日本の各地で火山の爆発、大地震、津波、大規模地滑りなどの災害が頻発しています。石川県、金沢でも大きな自然災害が起きるかもしれません。大地はいつもすこしずつ動いており、ときどき大災害をもたらします。

 塚脇先生の講演会では、石川県内、金沢市の地層の研究にもとづいて、日本海と日本列島ができあがる過程を、わかりやすく解説されます。日本列島は、いまから2000万年前に、アジア大陸から切り離されて形成されました。はげしい火山活動の時代、暖かいマングローブの海の時代、冷たい海の時代などの痕跡が各地の地層に残っています。『断層実物標本』もそのひとつです。

 わたしは、自然史資料館の館長になる前は、金沢大学の環日本海域環境研究センターに務めており、塚脇先生と親しくさせていただいていました。しかし、わたしは生態学が専門ですので、残念ながら塚脇先生の地質学の業績をよく存じ上げていませんが、先生がカンボジアで展開されているトンレサップ湖の自然、生態系、生物多様性の長期研究の素晴らしさに感銘を受けていました。

 カンボジアには、有名なアンコール世界遺産があり、先生はアンコール世界遺産国際管理運営委員会の特別専門家委員として、長年この世界遺産の環境保全や文化財保護に貢献されてきました。それが評価され、フン・セン首相より「ロイヤル・モニサラポン勲章 大十字章」を授与されました(2018年12月)。

 塚脇先生は、毎年金沢大学の学生をアンコールワットへ引率し、学生国際インターンシップを10年近く実施されており、成果をあげていいます。わたしもフィリピンのイフガオ棚田で金沢大学の学生国際インターンシップを実施しており、アンコール・インターンシップをいつも参考にしています。わたしは、研究者、教育者としての塚脇先生をふかく尊敬しています。つぎの機会には、カンボジアでのご活躍を講演していただく予定です。

2019年10月1日 

自然史資料館・館長 中村浩二

写真1 自然史資料館のエントランスホールにある『断層実物標本』

写真2 『断層実物標本』の拡大写真。2000年前の大地震の証拠といわれる

 

2019年度の自然史講演会を開催します。

 自然史講演会は、自然科学の専門家を講師としてお招きし、御専門の分野を一般の方々にもわかりやすく解説していただく講演会です。

講師

塚脇真二 博士(金沢大学教授)

塚脇先生から

 みなさんが暮らす日本列島は、今から約2000万年前に、アジア大陸の一部が切り離されることで形成されました。そのため、わが国の日本海側のほぼ中央にある北陸地域では、日本海ができてから今にいたるまでの地質学的な歴史を地層の中にたどることができます。激しい火山活動の時代や、暖かいマングローブの海の時代、冷たい海だった時代などの痕跡を地層にみることができるのです。この講演では、石川県内でみることができる地層にもとづいて、日本海ができていくとともに日本列島ができあがる過程を解説します。

開催日時等

  • 日時:10月6日(日)  14:00~16:00
  • 会場:石川県立自然史資料館 (金沢市銚子町リ441番地) 2Fコミュニケーションホール
  • 対象:どなたでも
  • 定員:100名
  • 申込:不要
  • 入場:無料

問い合わせ先

TEL : 076-229-3450 

URL : https://www.n-muse-ishikawa.or.jp/ 

担当者:地学分野学芸員 桂嘉志浩

担当者から

 10月6日(日)に自然史講演会を開催します。今回は地学分野の講演会で、講演者は塚脇真二博士(金沢大学教授)です。講演のタイトルは「日本海の歴史を金沢の地層にたどる」です。 この講演では、北陸地方の地質構造発達史や日本海の海洋環境変遷史・堆積史の第一人者である塚脇先生をお招きし、石川県内の地層にもとづいて、日本海と日本列島ができあがる過程をわかりやすく解説していただきます。そこに生息する動・植物に興味のある方々にもお勧めの講演会です。

参考

(写真1)右下から左上に走る火山灰の層(矢印)が写っています。この層は、火山活動が活発だったことを示す証拠です。

(写真2)ホタテガイ類の化石は、これが堆積した時代に、この地域一帯が浅い海の底であり、寒冷な気候であったことを示します。